白球を追う音の葉

野球音楽オタク横尾渉風味

大谷翔平は芸術だ。


大谷翔平。21歳。

未だかつて私をこんなにワクワクさせて、そして想像を超えるような活躍を見せた選手がいただろうか。

高卒メジャー入りを目指すも、ファイターズからの熱烈なオファー、プレゼンを受け日本球界入り。
彼にとってそれが正しかったのかどうか、答えを出すにはまだ早すぎるだろう。二刀流という誰も見たことのない世界に、ひとりで入っていったその覚悟は私を震えさせる。投手派打者派がプロの中でも分かれるのだから、どちらも素晴らしいということは言える。個人的にはまだ片方に絞るのは早いと思うので、自分の限界までトライして欲しいと思っている。

投手としては言うまでもない。
去年は15勝5敗。かつてファイターズに所属したダルビッシュ投手を思わせるような勝ち星のあげかたである。
また、日本人最速の162km/hを計測していて、150km/h近いフォークの攻略はなかなか難しい。

ところで160km/hがなんだか身近な数字になったのはいったいいつからだったか。元巨人のクルーン投手が162km/hを投げた時、誤解を恐れずに書けばあんな速さの投手異常だ、という感じがあったと思う。150km/h以上の球が投げられれば高速ピッチャー、というイメージだった。速い球を投げることが全てではないが、球界全体として速球の基準が上がった感を受ける。実際のデータを確認しておきたい。
※ここにおける球速とは、最高球速を指す。

さて、私が投手・大谷翔平で一番痺れることは、投球フォームである。

なんとしなやかで美しいのか。

専門家ではないので手首の返しがどうとか、体重移動がどうとかは言えない。
しかし、なんと美しいフォームなのか。
恐らくこれが目指すべきフォームなのではなかろうかと思った。お手本のように美しい。まるで整った毛筆での文字を見たかのように感じる。
余談だが、同チームの宮西尚生投手のような変わったフォームのピッチャーも大好きである。

続いて打者についてだ。
今年は.348 本8(2016/05/22時点)
という素晴らしい成績。DHでの出場が多い。5試合連続アーチについては述べる必要もないかもしれない。
逆方向、バックスクリーン、右中間。
ライナー性の当たりでスタンドに入る。
このような結果はもちろん素晴らしい。

このバッティングフォームが私を捉えるのだ !

なんと美しい身のこなしか。
無駄な力の入っていない構え。
そこからバットがボールを捉え、力強く振り抜く。

すごい。

美しい。

美しい。

こんな天才的なバッターが投げれば162km/hだというのだからもう一般人が二刀流をやめろだなんだと言ってはいけないレベルなのだと思う。

塁に出れば走塁がある。

なんだこの綺麗な走る姿は。
軽やかであり、速い。
相手の隙をついて次の塁に進む姿勢。
長い手足を持て余すことなく自分のものにしている。

すごい。

馬鹿みたいだが私の頭に浮かぶのは単純に感嘆を示す言葉だけだった。

ホームランを打った後の伏し目がちにダイヤモンドを回る姿。

美しい。

今年は外野手としての守備機会がないので割愛したが、フィールディングも良い。外野からのレーザービームは天下一品だ。ドーム球場のクッションボールの処理の仕方も言うまでもない。


投げる、打つ、走る、守る。
どれを取っても乱れず、惑わず、美しい。

大谷翔平は芸術だ。
球界全体の宝物だ。
すべての野球好きのロマンだ。
誰も見たことのない世界を、見て。
それを少しだけ覗かせて欲しい。

敬意を込めて、フルネームで呼ばせていただいた。

限りない彼の可能性に乾杯!